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    【ワインのマスターソムリエが教える】イタリアで最も北に位置する特別自治州トレンティーノ第2弾


    2022-10-18

  • イタリアソムリエ協会のマスターソムリエの資格を持つ うしおゆにこ です。  

    少し間が空いてしまいましたが、イタリアで最も北に位置するトレンティーノ・アルト・アディジェ 州を二つに分けたので、今回は南側に位置するトレンティーノの方を紹介します。  

     

    州都のトレントはこちら側にあります。  

    トレントの町は、日本人には馴染みが薄いかもしれませんが、16世紀に開かれた歴史的な「トレ ント公会議」の舞台になった町です。  

     

    ヴェローナ(ヴェネト州)から列車でトレントへ向かうと、山並みが次第に壮大な姿を見せるよ うになり「アルプスの始まり」を感じさせてくれるのですが、トレントはその入り口的な町と言え ると思います。  

     

    なお、アルト・アディジェでは、ドイツ語がイタリア語より先に表記されると言いましたが、トレ ンティーノでは普通にイタリア語を話します。  

    トレントの町から北へ行くと、ドイツ的な雰囲気が出てきますが、トレントより南は至って普通 のイタリアです(笑)  

     

     

    さて、トレンティーノのキーワードは以下です。  

    * スプマンテの生産が非常に盛ん  

    * 赤ワインの生産も多い  

    * ヴィンサントならぬヴィーノ・サントがある  

     

     

    イタリアのスプマンテというと、一番手軽なのがヴェネト州のプロセッコ、一般に一番高級なの はロンバルディア州のフランチャコルタですが、トレンティーノで造られるスプマンテ「トレント DOC」はその中間に位置し、品質と価格のバランスが非常に良いスプマンテです。  

     

    トレントDOCの代表はなんと言ってもフェラーリ。  

    皆様も一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。  

     

    ところで、このフェラーリは、車のフェラーリとは何の関係もなく、創設者ジュリオ・フェラー リ氏の名前から来ています。でも、F1好きにとっては、同じ名前なのでなんだか嬉しくなりますよね。 

     

    さて、スプマンテの製造方法は、大きく分けて2種あります。  

    2度目の発酵(2次発酵)を瓶内で行う方法(クラシコ方式)と、タンク内で行う方法(シャル マー方式)です。  

     

    クラシコ方式の代表がフランスのシャンペンや、イタリアでは前述のフランチャコルタで、シャル マー方式の代表がやはり前述のプロセッコです。  

     

    前者の方が生産に手がかかるため、一般に高級なものとなり、後者はタンクで大量生産ができる ので、値段も、そして味わいも手軽なものになります。  

     

    さて、トレントDOCはどちらの方式で造られたスプマンテでしょうか?  

     

    答えは、前者です。  

     

    瓶内2次発酵方式、つまり、シャンペンやフランチェコルタと同じクラシコ方式で、品質が良く、 しかし、(フェラーリを除くと)知名度が若干劣ることもあり、全体の値段が比較的抑えられて います。  

    だからとてもお得感があるんです。  

     

    また、品種も、シャルドネ、ピノ・ネーロなどを使用し、これらの品種はシャンペンやフランチャ コルタにも使われる品種です。 

     

    味わいは、一般に、フランチャコルタより色が濃く、香りがフルーティで、柔らかく、女性向きなスプマンテと言えますし、食前酒にするととても華やさが出ます。  

    ちょっとしたハレの日のお供に、食事をトレントDOCで始めるのはオススメ、そして、コクもあ るので、食事に合わせるにもぴったりです。  

    クロダイなどの風味豊かな魚介系や、香草を使い仕上げたものなどでも良いし、白身の肉と合わ せてもしっかりした主張を崩しません。 

     

    なお、前述のフェラーリは、比較的値段が抑えられたものも多いですが、看板は「ジュリオ・フェ ラーリ・リゼルヴァ・デル・フォンダトーレ(創設者のリゼルヴァ)」で、イタリアのスプマンテ の名品の1本です。  

    ちょっと値段が張りますが、いつかぜひ飲んでいただきたいというオススメのスプマンテです。  

     

    さて、気候のより寒い北側のアルト・アディジェでは白ワインの生産が多いのですが、トレンティー ノでは赤ワインも多くみられ、地元の有名な土着品種に、テロルデゴ(「テロルデゴ・ロタリアー ノDOC」が有名)があります。  

    この品種から造られるワインは、北イタリアのイメージとはちょっと違った、濃いめの色合いの 輝くルビー色をしています。  

    フルーティで、タンニンのほろ苦さをも感じさせる、ボディのある滑らかな口当たりのワインで、 煮込みを含めた、寒い冬のインパクトのある肉料理によく合います。 

    辛口のノジオーラと、Foradoriは、デロルデゴで有名なワイナリー  

     

    そして、もう一つ、特徴的な白ブドウの土着品種にノジオーラがあります。  辛口のワインの場合(「トレンティーノ・ノジオーラDOC」が有名)、香り豊か、ヘーゼルナッツ の香りを含む、程よいボディの白ワインができるのですが、同じ品種から甘いデザートワインが 造られます。  

     

    イタリアの代表的なデザートワイン、トスカーナ州のヴィンサントがありますが、こちらは、 ヴィーノ・サント。(「トレンティーノ・ヴィーノ・サントDOC」が有名)  名前がすごく似ていますが、産地も品種も全く違います。  

    どちらも「聖なるワイン」の意味を持つ魅力的なデザートワインで、造り方はそう簡単ではあり ません。  

     

    遅摘みにして、収穫後も数ヶ月の間陰干しをして、ブドウの糖度を高めてから醸造し、甘いデザー トワインにしますが、良い物は、貴腐がついた実も使います。  

     

    ヴィーノ・サントは、ただ甘いだけではなく、酸味とのバランスがよく取れ、干したいちじくやナッ ツの香りのある、とても心地よいデザートワインです。  

     

    フルーツタルトやビスケットなど、チーズが好きな方はブルーチーズにも合わせられます。また は、食後にデザートワインだけを楽しむのも優雅なひと時です。  

     

    甘いワインは敬遠されることが多いのですが、デザートに合わせるのはやはりデザートワイン。  良いレストランは、デザートにも力を入れているところが多いので、ぜひ、コーヒーではなく (コーヒーはデザートの後のプチケーキに合わせます)、デザートワインと共に、甘い至福のひ と時を過ごしてください。  

     

    Tenuta San Leonardoは、トレンティーノで、おそらく最も高級なワインを造っているワイナリー  カベルネなどの国際品種を使っている 

     

    それでは、また。  

    次回をぜひお楽しみに。 


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