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    スペインのプロバンスと呼ばれるラベンダーの村、ブリウエガ


    2017-07-09

  • 7月最初の週末、マドリッドの北東90㎞ほど、グアダラハラの近くの村、ブリウエガ(Brihuega)へ行ってきました。

    実はこの一帯、ここ数年ラベンダーの栽培面積が増えて、見渡す限りのラベンダー畑が広がり、「スペインのプロバンス」と呼ばれています。

      

      イベリア半島のメセタを形成するごつごつした荒地が広がる台地、そこを流れるいくつかの川が創り出した谷とそこに沿ってできた沃野に町や村が点在するアルカリア地方。それらの村のひとつが人口2000人のブリウエガ(Brihuega)

     

     タフーニャ川に削り取られてできた崖の上、自然の立地を利用して創られたレコンキスタ時代のお城を中心として、町は城壁に囲まれています。 

     町の起源は古くは紀元前、ケルティベリアの時代まで遡り、中世イスラム統治下ではイスラム小国家トレド・タイファの勢力下にあり、その後1085年にアルフォンソ6世がイスラムを下して、カスティーリャ王国の統治に入りました。

     同王がこの地をトレド大司教に譲渡して以来、長きにわたりトレド大司教領となったため人口の割に、大きな教会がたくさんあります。

      

     何世紀も前からこの村では、薬用に使われるエスプリエゴ(Espliego)と呼ばれるラベンダーとよく似た植物を栽培していたそうです。

    8月の村の守護聖母Virgen de le Peñaの祭りには、村中にこのEspliegoが敷き詰められ、踏みしだかれて発するアロマが村を満たすのだとか。

     

     1960年代にフランスのプロバンス地方からラベンダーが持ち込まれ、土着のEspliegoとの交配が行われ、この地方の気候と地理に適応するラバンディン(Lavandin)と呼ばれるハイブリッド種が誕生し、栽培されるようになったそうです。

     標高は1100メートル以上のメセタ台地、夏は暑く冬はマイナス15度近くになり、極端に雨が少ないこの地方、従来は主要農作物は小麦だったそうですが、気候と土壌に適応したラバンディンのコストパフォーマンスの良さから、ここ数年、小麦栽培からラベンダ栽培にシフトする農地が増えているとのこと。

     また、見渡す限りのラベンダーを見に訪れる観光客も増えているのだそうです。私たちもその花見客です。

    ということで、ラベンダーの花が咲く7月は村を挙げてのラベンダー月間、金土日の夕方には村が提供する花見ツアーが廉価で提供される他、様々なイベントが開催されるています。村の広場や民家もラベンダー色にデコレーションされています。

     ラベンダー色に染まった村役場前広場

     メインストリートのデコレーション。日本語も見えますね。

     

     各家庭、それぞれのセンスでラベンダー色のデコレーション。

    ラベンダーの写真撮りまくりです。

     

     

    まだちょっと満開には早すぎて、紫色が濃くなかったのですが、見渡す限りのラベンダーとその向こうの抜けるような青空に心が洗われます。

     

     

    翌日の朝、未だ太陽がきつくならないうちに、行ってきました。

    ラベンダー畑の間を歩きながら、ラベンダーだけでなくこの地方や村の歴史など興味深いガイドさんの話を聞きながら歩くこと約2時間。

     

    いろんな品種の咲いている様々な畑を案内してくれるので、ラベンダーを十分堪能できました。

    品種によって色合いが違うのがわかります。

     

    ラベンダーは農作物なので勝手に畑に踏み入ることはできません、警備員さんが巡回しています。ガイドさんがいないと迷子になりそう。

     

     

     かつてスペインの重要な輸出品であった羊毛、そしてその羊たち飼育するため冬の寒さを避け牧草を求めてイベリア半島をめぐるトランスウマンシアと呼ばれた移動放牧がありました。

    このトランスウマンシアが通った道はカニャーダレアル(Cañada Real)と呼ばれ、夏の熱暑と冬の寒さが厳しいメセタにおいてある種オアシス的な役割を果たしたルートでもあったとか。ラベンダー畑や小麦畑の中に樹木に囲まれたカニャーダが通っていて、私たちも木陰でちょっと一息いれることができました。

     

    村へ戻る途上、村の入り口にあるラベンダー油を精製する蒸留工場を見学させてもらいました。

    私たちが訪れたのは、2016年に完成した最も近代的な蒸留工場。

     

    巨大なコンテナーを畑に持ち込み、マシンで収穫したラベンダをそのままコンテナに投入、コンテナが一杯になると、即、コンテナの底のある管から蒸気を送り出し、畑から工場へ向かう道中で作業開始。

     

    工場に到着すると、巨大な蓋をコンテナに被せて密閉し、底部から蒸気が吹き出す。蒸気の力でラベンダーのエッセンスが抽出され、蒸気と混じったエッセンスが蓋上部に設けられた管を通り、建物上部へ。

     

    そこに設置されている巨大なラジエータで蒸気が冷やされ、水と油(ラベンダーエッセンス)に分離、分離した水と油は別のチューブで精製スペースへ。

     

    浮力の差(油は上、水は下)を利用した精製スペースにて、ラベンダ油(エッセンスオイル)が抽出され、水は再び蒸気として100%再利用。

    工場の一角には販売スペースがあり、純粋なラベンダエッセンスオイルが廉価で購入できます。

     

    とっても有意義なツアーの後は、ホテルへもどって、ゆっくりお昼ご飯。

     

     

    どこへ行っても、ほのかにラベンダーの香りがする、そんな一日でした。

     

     

    満開のラベンダーへ続く(かも)・・・

     

    Lucy Mama

     


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