チェコ ホラショヴィツェの観光・見所について

ホラショヴィツェ

ホラショヴィツェ

ホラショヴィツェとは、チェコの南モラヴィアに位置する小さな村です。この村は徒歩でも10分程度で一周できてしまいそうなほど小さい集落ですが、18世紀から20世紀頃に建設された南ボヘミア民族バロック様式(フォーク・バロック)という家並みが残されていることから、1998年に世界遺産になっています。民族バロック様式というのは、バロック様式の中にクラシック様式などの要素が合わさった独特の建築スタイルのことで、この地方だけでなく他の村々にもいくつかの建物が残っていますが、ホラショヴィツェの建物が完成度が高く、数が多いことで知られます。
ホラショヴィツェの典型的とも言えるボヘミアスタイルの集落は、どこかのんびりとした雰囲気で、家々の正面にあたる部分には、可愛らしい感じの装飾や女性が好みそうな色使いでデザインされた家々が並んでいます。
こうした可愛らしい家並みはホラショヴィツェに特有のもので、都会から花嫁を呼ぶために家を飾り立てたのが起源になっていると伝えられています。宮廷バロック様式とは異なり、静かな村で質素に暮らす庶民の日常生活から生まれたことが評価され、古き良き時代の面影を現代にも伝えています。

ホラショヴィツェ1

見どころ

ホラショヴィツェの中心部には、1755年に建てられたネポムクの聖ヨハネ礼拝堂があり、東欧カラーである明るい黄色の建物が目印です。冬場には氷点下になり雪景色になる村の町並みにも、この礼拝堂の黄色と白が温かみを添えます。雪化粧を纏ったホラショヴィツェの家々は、他の季節とは異なる魅力があり、ひっそりとした村の雰囲気の中にも、雪の白い色と家にデザインされた可愛らしい絵柄が溶け込んで、ファンタスティックな雰囲気になります。
春になると聖ヨハネ礼拝堂の前には、5月の木と名前が付けられたポールが立てられ、再び恵みの季節がやってきたことを祝う風習があります。この礼拝堂は、夏場になると広場の豊かな緑色によく映えます。
正面部分にそれぞれ装飾がされているホラショヴィツェの家々では、パステルカラーを基調とした可愛らしい絵などで飾られているのが特徴です。花々を描いた模様や、馬を模った模様など、家によってデザインも様々で、年号のようなものが添えられています。庭に目を移すと、鶏が歩いていたり、農機具や井戸など農村の暮らしを伺えるものがあるので、歩いて巡っていると気持ちがゆったりとして和んできます。煌びやかな宮殿などの美しさとは対照的ですが、素朴な雰囲気に包まれた温かい村の様子は、都会の慌ただしさに疲れた旅人の心をそっと癒してくれます。また、村からチェスキー・クルムロフへと続く道では、田舎道の美しい景色が広がります。