スペイン プラド美術館の観光・見所について

プラド美術館

プラド美術館

スペインは、ヨーロッパの代表的な国ですが、数百年にわたってイスラム国家の支配を受けた歴史を持つことから、ヨーロッパと中近東の両方の魅力を併せ持つ、独自の文化を築いています。こうした特徴が観光客の人気を集め、今では世界有数の観光大国となっていますが、この国を訪れる人のほとんどが一度は足を運ぶ観光スポットが、プラド美術館です。
プラド美術館は、フランスにあるルーブル美術館や、ロシアのエルミタージュ美術館と並んで、世界三大美術館のひとつに数えられています。西洋美術に関心のある人ならば、誰もが一度は訪れたいと願うでしょう。また、美術ファンだけではなく、歴史に興味を持っている人にも、この美術館は一見の価値があります。なぜならば、この美術館の歴史は、そのままスペイン王室の歴史とも言えるからです。いわば、この美術館の展示品は、全てスペインハプスブルク家の至宝とも言うべきものです。かつて、スペインは日の沈まない国と言われるほど、世界最強の帝国でした。南米の植民地から流入する金銀を独占したスペイン帝国は、世界に冠たる大帝国であり、有名な無敵艦隊に代表されるように、その威力は並びないものでした。
今日、プラド美術館に所蔵されている珠玉の美術品は、世界一の財力を誇ったスペイン王室が、その有り余る富を注ぎ込んで求められたものです。この比類のない美術品の数々を目にすると、まるでありし日のスペイン王室の栄華が目の前に蘇ってくるかのような錯覚にすら感じられます。

プラド美術館1 プラド美術館2

見どころ

プラド美術館には、世界の他の美術館にはない大きな特徴があります。それは、所蔵品の多くが、自国の画家の絵画で占められているということです。特に、有名なのはベラスケスとゴヤの二人です。この二人の絵画を見るためだけでも、この美術館を訪れる価値があるといっても決して過言ではないでしょう。ベラスケスの絵画は、スペイン王家の人々と宮廷女官たちの群像を描いた絵画史上の傑作であるラス・メニーナスをはじめ、スペイン王室の人々の有名な自画像が多数展示されています。誰もが一度は教科書や書籍で目にした絵画が所せましと並ぶ姿はまさに壮観です。
人物画を鑑賞する時には、そのモデルの生涯をあらかじめ勉強しておくと、楽しみが一層増すものです。旅行に行く前には、スペイン王室についての歴史を簡単にチェックしておくと、絵画鑑賞がより味わい深いものになります。特に、スペインハプスブルク家や、ブルボン家の歴代の王についての知識があると、人物画を見る目も変わってくるでしょう。
また、ゴヤの裸のマハや、黒い絵シリーズの前は、いつも大勢の見物客で賑わっています。ゆっくりと絵画を鑑賞したい時には、開館すぐの午前中の時間帯に訪れるのがおすすめです。
絵画鑑賞に疲れた時には、地下にあるカフェで休憩をとってから、再びギャラリーに戻ることもできます。また、自国の画家のほかに、エル・グレコやルーベンスなど、世界的に有名な画家の作品群を鑑賞することもできます。