イタリア 最後の晩餐の観光・見所について

最後の晩餐

最後の晩餐

最後の晩餐はレオナルド・ダ・ヴィンチが、彼のパトロンであったミラノのルドヴィーゴ・スフォルツァ公の依頼によって描かれた絵画です。イタリア・ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ聖堂修道院食堂にその絵画はあります。最後の晩餐は、食堂の装飾壁画として描かれました。キリスト教における最後の晩餐の主題は古くからあり、キリスト教教会・修道院・僧院の装飾壁画の一つです。
この絵画の内容は、キリスト教の聖書に登場するイエス・キリストの最後の日の、最後の情景が描かれています。ヨハネによる福音書の13章21節によるイエス・キリストの発した「12人の弟子の中の一人が私を裏切る」という場面です。この発言に弟子たちは顔を互いに見合わせている場面でもあります。
レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐は、これまでにない横一列の人物配置を描き、人物の表情と手の動きの描き方によって多様な心理を描写していることが伺えます。絵画技法に関しては、当時のフレスコ画法ではなく、油絵とテンペラによって描かれています。壁画を油絵とテンペラによって描くことで、質感等の描写力には優れてはいますが定着性に劣るというリスクがあったため、当時の保存環境からの湿気等で絵の具の剥離といった問題が起こります。壁画の保存状態が極めて悪い環境にあったため、この傑作は制作当時の状況をわずかに残すのみの現在の状況になっています。しかし、現存していることさえ奇跡とも言われているほどの貴重な絵画なのです。

見どころ

最後の晩餐があるミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ聖堂修道院は、併設のドメニコ会修道院とともに世界遺産に登録されています。
500年以上も前に描かれたレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐は、見事な奥行を表しており、まるで現実に食堂が壁の奥まで続いているかのようなリアルさがあります。図法の錯覚からまた、人物の表情の描写も見所です。
ヨハネ福音書13章21説によるイエス・キリストが予言した「弟子の中に裏切るものが出る」という発言に対して、動揺・困惑・疑惑という表情が伺える描写はとてもリアルです。まるでその場で実際のシーンを見ているかのような気分になります。
この絵画の見所はほかにもあります。それは、細かいところを見ることでよりその世界に入り込み面白くなります。
描かれている人物の服装や様子などから誰が描かれているのかわかります。例えば、ナイフを手にした人物が聖ペテロです。裏切り者を殺してやろうと提案している描写です。また、裏切り者のユダを表すものとしてユダの手に描かれている物があります。それは巾着です。これはイエスを売った時に手にしたお金を表すものとしてユダとともに描かれています。キリスト教絵画には、こうした人物を表す目印の物が定められており、暗黙の了解として描かれているのです。未だ、謎の部分もある最後の晩餐ですが、こういった細かい部分まで最後の晩餐を見ることでよりリアルさを感じることができます。