アイルランド グレンダロッホの観光・見所について

グレンダロッホ

グレンダロッホ

グレンダロッホはアイルランドに存在する初期のキリスト教会遺跡群です。石造りの大聖堂や複数の教会の跡地から構成されています。6世紀ごろにアイルランドの伝説的な聖人である聖ケヴィンによって開かれました。当初は隠者である聖ケヴィンの少数の弟子たちのための修道院に過ぎませんでしたが次第にキリスト教の聖地としてヨーロッパの各地から敬虔な信者や知識人が集まり、宗教のみならず政治や文化、商業の中心地としても栄えました。
その後アイルランドはバイキングによる略奪やイギリスによる支配など政治的に不安定な時代も多く経験しましたが深い森の中に隠れるように位置するグレンダロッホは庶民の重要な信仰の拠点としてあり続けました。
今日では残念ながら老朽化によって失われてしまった建造物もありますが大聖堂を中心とするグレンダロッホの石造りの建造物の多くは1300年もの時代を経てなお現代にかつての信仰の中心地としての姿を残しています。

グレンダロッホ1

見どころ

グレンダロッホは複数の建造物から構成されていますが中でも最大の規模を誇るのが「大聖堂跡」になります。石材のみ用いて装飾された入り口のアーチや窓枠、食器棚などは芸術性の高さだけではなく当時の進んだ技術力についても示しています。「大聖堂」を抜けると「ケヴィンの教会」と呼ばれる建物があります。この教会は聖ケヴィンが建てた最初の教会とされており小さいながらもほぼ完璧な状態で保存されている貴重な建造物になります。内装はシンプルながらも食器棚や聖具棚、炊事場なども残っており当時の僧侶たちがどのような生活を送ってきたか思いを馳せることができます。
また、バイキングの襲撃から非難するための石塔も現存しており、絶えず外敵に脅かされてきたアイルランドの過酷な歴史とそれにめげることなく立ち向かってきた庶民の信仰の力強さを今なお示しています。グレンダロッホはバイキングの襲撃や老朽化によって何度も建物が失われるたびに現地の僧侶や住民たちの手によって元の石材で修復されることを繰り返してきました。崩れないように丁寧に積み重ねられた石材を見ることで当時の人々にとってグレンダロッホがいかに重要な施設であったか想像することができます。
グレンダロッホの外れには初代修道院長の聖ケヴィンの十字架が「大聖堂」と「ケヴィンの教会」の間にひっそりとたたずんでおり、今日も夕日に照らされながらこの遺跡群と人々の生活を静かに見守っています。