チェコ 聖ヴィート大聖堂の観光・見所について

聖ヴィート大聖堂

聖ヴィート大聖堂

聖ヴィート大聖堂は、チェコの首都に建つプラハ城の中庭にある大聖堂で、大聖堂内の独特のネット・ヴォールトや有名画家ミュシャのステンドグラスが有名です。
この大聖堂が建つ場所には元々、紀元4世紀前半に殉教した伝説の聖人、聖ヴィートに捧げられたロマネスク様式の教会が建っていて、この教会に祀られた聖遺物「聖ヴィートの腕」がまだ黎明期だったプラハ民衆のキリスト教信仰を後押ししていました。
信者の数が大幅に増加した1060年にはプラハに司教区が置かれることになり、同じ場所にロマネスク様式の大きな教会が建てられました。
そして1344年に神聖ローマ帝国の皇帝であり、ボヘミア王でもあるカール4世の命により聖ヴィート大聖堂の建築工事が始まりました。大聖堂が完成するまでには様々な紆余曲折があり、600年に及ぶ建築期間を要しました。その間、建築指導者は北フランス出身のマティアに始まり、ドイツ出身のペトル・パルレーシュを経て彼の二人の息子に受け継がれ、19世紀にはヨゼフ・クランナーやヨセフ・モッカーが指導にあたり、最後の建築家カミル・ヒルベルトに至って1929年に完成しました。

見どころ

【チェコを代表する画家ミュシャのステンドグラス】大聖堂内には色鮮やかなステンドグラスが何枚も備え付けられており、特にチェコを代表する画家アルフォンス・マリア・ミュシャのステンドグラスは一際輝いています。彼が制作したステンドグラスは身廊の北部で輝いていますが、その他にもフランティセク・キセラがデザインしたバラ窓など美しいステンドグラス群が教会内を鮮やかに彩っています。
【2トンの銀を使って制作された聖ヤン・ネポムツキーのお墓】主祭壇の右側にはボヘミアの守護聖人である聖ヤン・ネポムツキーのお墓があります。このお墓は銀でできており、2トンもの銀が使用され制作されています。台座に立つネポムツキーの回りには彼を守るように騎士や天使が配置されており、またネポムツキーの頭上には5つの星が輝いています。
【聖ヴィート大聖堂の礎を築いた聖ヴァーツラフの礼拝堂】聖ヴィート大聖堂の原型ともいえる最初の教会を建てたボヘミア公ヴァーツラフ1世の聖遺物が修められているのがこの礼拝堂で、ヴァーツラフの一生やキリストの受難を描いた壁画が所狭しと飾られています。ボヘミア美術の真髄を見ることができます。
【ペトル・パルレーシュが編み出した独特の内装構造】北フランス出身のマティアの後を受け継いだドイツ出身のペトル・パルレーシュはリブが網の目状に交差して連なるネット・ヴォールトなどの内装構造を編み出し、大聖堂内に独特の内装構造を施しました。彼は彫刻家でもあった為、従来の建築様式に囚われない方式を採用し、これをきかっけとして彼の一族達は中欧全域を代表する建築工房に発展しました。彼が編み出した内装構造も見所の一つです。